
特許取得済(特許第6970946号)
・川の状態を適切に評価するためには、石や礫、砂などの「河床材料」がどのように分布しているかを詳しく調べることが重要です。これらの材料の分布は、川の流れや生物の生息場などに影響を与えるため、治水面や環境面の基礎となる情報です。
・しかし、これまで河床材料の分布を調べるには、実際に川の中を人が歩いて調査し、目で見て記録する必要がありました。この作業は、時間や労力がかかるだけでなく、川の中を歩く際に滑りやすい岩や不安定な石の上を移動するため、転倒や怪我のリスクも伴います。
・そこで、最新の技術を活用し、ドローンによる空撮画像から河床材料を自動区分する方法を開発しました。この方法では、ドローンが撮影した高解像度の画像を取り込み、機械学習という人工知能の技術を使って、石や礫、砂などを自動的に区分します。これにより、従来のように人が川の中を歩いて調査する必要がなくなり、作業の効率化と安全性の向上が期待できます。

起伏の大きい岩を登ったり降りたり

接地状況が不安定な石の上を歩行

ドローンで撮影した川の空撮画像を細かく分割し、それぞれの部分がどのような材料でできているかを分類します。具体的には、大きな石(大礫)、中くらいの石(中礫)、小さな石(小礫)、砂、砂と石が混ざったもの(砂礫)など、それぞれの状態の画像を「教師データ」として作成します。この教師データは、後でモデルに学習させるための基準となるデータです。



作成した教師データをもとに、繰り返し学習を行い、「機械学習モデル」を構築します。このモデルを使うことで、空撮画像から河床材料の種類を自動的に区分し、どのように分布しているかを平面的に可視化することができます。これにより、従来は人が目で確認していた作業を、効率的に行えるようになります。


解析結果は調査結果を概ね再現
この技術には、以下のような利点があります。
●現地調査を効率化(調査人員・日数の軽減 / 安全面の確保)
実際に現地に行って調査する手間を減らすことができます。これにより、調査に必要な人員や日数を削減できるだけでなく、危険な場所での作業を減らし、安全面を確保することができます。
●調査結果の連続性確保(作業員の経験や感覚に依らない精度の確保 / 作業員の固定化解消)
従来の調査では、作業員の経験や感覚に頼る部分がありましたが、この技術を使えば、誰が作業しても同じ精度で調査結果を得ることができます。
●他分野への応用可能性
必要な空撮画像や分類基準(状態定義)があれば、この技術は他の分野にも応用できる可能性があります。